1月はラジオ関連の修理をメインに作業しています。
今回の例は 写真掲載許可いただいたお客様の ICF-7601
ダイヤルメカ式のアナログチューニングで選局するラジオです。
故障症状:電源が入らない
この機種はダイヤルメカ式、 全分解すると ダイヤルメカと目盛りの関係の調整、バリコンのサブトリマーコンデンサーにより周波数の微調整が必要です。
(分解の仕方を間違うと 基板を割ってしまったり部品展開図を見ないと元の状態に戻らないので 電子工作などで自信がある方が自分のラジオの修理にdiyトライしてみたい場合は注意が必要です。 特にダイヤル系と基板分解、組み立てが難しい機種の部類です。 分解してみたい方は構造を理解していないと 分解初めてみても元に戻らない(特に周波数とダイヤルの関係がずれてしまう)可能性がありますのでご注意を ^^)
今回のラジオは 電池のわずかな液漏れによるガスで各部錆の発生があり 電解コンデンサーの一部が経年劣化、容量減小後のリップルによる発熱の影響か液漏れがあり 基板腐食が生じていました。
明らかな液漏れのある電解コンデンサーを交換 基板の腐食箇所を修復して半田コーテイングとソルダー・レジストで錆止めし、断線部分はジャンパー接続、液漏れのガスによりスイッチなどの接点が腐食している部分を修理、一部交換などをして 各部調整 SGによる信号で感度調整 トラッキング調整 最終的に目盛りと周波数の微調整 をして 基本動作は正常となりました。
ラジオ自体は古いけれど 日本の製造業が元気だった自体のラジオで FMはワールドバンドなので 最近のワイドFMも楽しめる良い音のラジオです。
1日 音を出して正常になりましたので発送し 到着後正常動作確認していただきました。
ソニーの当時のラジオは今みてもカッコイイ ラジオです。
中身の基板やメカも良く これだけ押し込んだなあと感じるものが多いです。
当時のラジオは できるだけ小さめで設計して作ったのでしょうけど、 軽薄短小すぎず(良く感じる肝心なところは確実に押さえている 質感も含めて) 安価だけが売りではなく 省エネのために音を犠牲にもしない 良い音のラジオというところも良かったと思います。
最近のラジオは 基本設計思想が異なるのか コピー指向なのか 低価格と機能 省エネ度 が最優先で 肝心の 「感度」や「音質」は どこか日本や世界でエンジニアが本気で作り込んできたラジオとは違うようなラジオが多いのが残念に感じることがあります。
今年になってラジオが廃止される国も出てきたりしていますが 線が無くても ラジオ局のアンテナさえ正常なら災害時でも聞けるラジオ放送は 日本国内ではずっと継続してほしいものです。
私の経験になりますが 3.11でも インフラと通信が遮断されてしまい アマチュア無線での交信や他の業務無線での通話が頼りだった経験をしましたので 光や携帯に頼りすぎないで 良いところは良いものとして利用できるようにしておいてほしいものです。
写真:SONY製 ラジオ ICF-7601 各部清掃、修理後 (Y様)
1月は 修理業務のみ営業の予定(他 修理以外の業務は 1月のみ休止させていただきます) で進行中ですので 1月中にお預かりしているラジオは すべて修理完了して発送の予定で進めています。
まだ月末まで 難題の修理は続きますが完全NG(ギブアップ)品は現状では無いため修理は完了できます。先週までに腐食関連の修復は終わりましたので 月末まで 1台づつになりますがコツコツ完成させて行きます。
掲載許可いただきましたラジオがありましたらまた写真をアップします。
家電総合エンジニア 1名で コツコツ作業していますので 新規修理品は割り込みできません。 大切にしてきたものが壊れてしまった場合の新規の受付は2月以降になりますので 2月になりましたら連絡いただけますと対応させていただきます。 ご了承ください。
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コメント
愛用の名刺サイズラジオが戻ってきました。購入した当時のままになりました。
メーカーには冷たくあしらわれましたが元通りになり感激です。
性能的には最新のものとほとんど変わりません。更に大切に愛用したいと思います。
ありがとうございました。
投稿: 阿部 仁志 | 2017年1月25日 (水) 22:00
阿部様 喜んでいただけて良かったです。
電池消費も少なく音の良いラジオなのでまた 長く愛用できそうですね。
今回はご利用ありがとうございました。
投稿: Q | 2017年1月26日 (木) 18:45
定年を迎え時間が出来たので身の回りの物を片付けていたところICF-7601が出てきました。
数年前迄は年に何度か動作を確認出来ていたのですが電源が入らなくなっていました。
ネットで検索したところこのページに辿り着きました。
電池は抜いていたので液漏れはありません。
修理していただく事は可能でしょうか
投稿: 市川博之 | 2021年3月17日 (水) 08:40