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2006年10月

2006年10月18日 (水)

アンプの出力インピーダンスと真空管

最近のアンプの出力素子は 近年 素子としてのMOS-FETがハイパワー化が進み安価になったため 急激にMOS-FET化しています。カーオーデイオのアンプなどは ほとんどがFET使用。 デジタルアンプは完全にスイッチングなのでFETが効率が良い。 しかし アナログアンプは。。どうだろうか。。 リニア領域で動作させる向きにはトランジスタが向いている。FETの利点は熱暴走しにくいこと。 制御電力が小さくて済むこと。

電子工学や 高周波回路などのアンプ(増幅器)設計では SWR(反射波)を減らし信号伝達の効率を上げるため インピーダンスマッチングという考え方をするのが普通です。

マッチングを考える分野が多い中 オーデイオの場合だけ 考え方が異なります。オーデイオの基礎中の基礎ですが アンプの入力とソースの関係は ソース側がローインピーダンスで アンプの入力側がハイインピーダンス。 この理由は 受ける側で信号を弱めないためと このほうが信号線を長くのばしても外部のノイズなどの影響を減らすことが出来るためです。

オーデイオのメインアンプ(パワーアンプ)のスピーカー出力側のインピーダンスとスピーカーのインピーダンスは 8Ω出力なら8Ωのスピーカーを接続する。 と 言うように 確実に同じインピーダンスでインピーダンスマッチングをしていたのは真空管アンプの時代まででした。

OTL(アウトプットトランスレス)の半導体アンプやICアンプになってからは 出力インピーダンスは1Ω以下 でも 推奨スピーカーは8Ω インピーダンスのマッチングからいうととんでもないアンマッチです。 入力と正反対です。  アンマッチなほどダンピングファクタが大きいことになります。 みなさんは このことが なぜそうしているか考えたことがありますか? 

スピーカーは 電気を受けて音を出す 受動素子でもあり 音(振動)を受けて電気を出す 発電素子でもあります。 フレミングの左手の法則も フレミングの右手の法則も こなす部品です。 ダイナミックスピーカーやセラミックスピーカーはマイクにもなります。そのため プレストーク型のインターホンなどでは スピーカーをマイク代わりに使うこともあります。

音の電気信号をスピーカーに入れると音が出る代わりに 電力(電圧 電流)が戻ってきます。 その電力でアンプが破損するようでは困ります。 また その電力で音が劣化しても困ります。 そのため 半導体アンプでは 出力インピーダンスを思い切り下げておき さらに強いNFBをかけてスピーカーを制御下に置くのです。 

スピーカーからの電力くらいでは影響を受けにくいようにNFBも使い強烈なサーボをかけたようにして入力信号に対し振動板をバランスさせて動作させています。このNFBによってケーブルの差もあるていど埋められます。大電力になればなるほど 全領域をリニアに働かせるためには このようなサーボ手法が必要になります。 昔 ケンウッドでΣドライブというものがありました。 この方式などは まさにケーブルまで含めてサーボループに入れてしまいスピーカーをアンプの制御下に置こうとするものでした。スピーカーによっては制動されすぎた音がしたものでした。メーカーの個性として懐かしいものです。

自作派の中には NO NFBアンプなども有りますが これでスピーカーを完全に制御するのは難しいと思います。 出力インピーダンスがかなり低いアンプでないと過渡特性的にはつらいと思います。私の場合は 趣味でも仕事の設計でもスピーカー出力端からのNFBは必須と思っています。

最近では トランス付きのプッシュプル真空管アンプにこだわっています。 トランスの1次側はキロΩオーダーのハイインピーダンスで2次側は8Ωのローインピーダンス。 真空管の場合これだけ差があるため 2次側のインピーダンスを必要以上に下げずとも(トランスの2次側とスピーカーのインピーダンスマッチングをお互い8Ωにする) 真空管側が動作点で信号を維持し軽く抑えてあげるだけで巻き線比でも軽くブレーキがかかることになります。 そこにNFBを軽くかけ使用します。ギターアンプなど音のハーモニックスや余韻も楽しむ向きには真空管が向いているのはそのためです。 半導体はオーバードライブを連続すると壊れてしまい 壊れた素子は復活しませんが 真空管は多少オーバードライブでも劣化はしますがいきなりは壊れません。(ヒーターが切れるとかエミッションが低下しないかぎりは。。)そのため 楽器では今でもビンテージとしても好まれるのだと思います。

スピーカーだけを暴れさせないためにも 小さな音であってもアンプの制御下に置くためにも 半導体の場合も 真空管の場合もNFBは必須と考えています。 私の場合は トランスのNFB巻き線ではなく スピーカー端からのNFBを使い続けています。 ちっぽけなポリシーですね^^

現在企画中のアンプのキットもこのポリシーを生かした構成とすることにしました。出力トランスは高いですが インピーダンスマッチングするキーパーツとして省かない予定です。

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