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2006年6月30日 (金)

昔と今のアンプの話 

ここのところ 仕事で各種アンプを製作することが多い。 アンプといっても様々。 増幅器すべてアンプですから 直流(DC)から高周波 低レベル電圧信号から 高圧信号 微少電流信号から大電流信号まで様々 私が仕事で担当するものは 国内の計測機器や 国内の産業用機械の高周波アンプや広帯域アンプ。

一般の方にアンプと話すと オーデイオアンプを思いうかべる。 オーデイオアンプは簡単なようで難しい。 簡単だ と思っているうちは奥をまだ知らない方が多い。

奥とは キットや 公開されている回路をそのまま組めば動かないはずがないのですが。 自分で回路を設計して実装をしてというようなことをすると 発振したり ノイズが止まらなかったり 歪率が下がらなかったり など。 泥臭いことがあり 時間を費やすことが多い。最近ではシミュレータを使って動作解析してしまうが 実装したあとにどうなるかは実装の設計手法で決まる。(組む方や 基板のレイアウトで大きく変わる)

オーデイオアンプは簡単なようで 様々な電圧レベル 様々な電流レベルを扱うことになり 増幅回路内の歪みや音への色付けが少ないことが要求されるので意外に難しい。(設計が済んでいてキットになっていたりすれば簡単ですが) 特に高ゲインのアンプの部分や 大電流 高圧でスイングされるような回路の アース周りのレイアウトはかなり難しい。 オーデイオでは 扱う周波数が1つではないからだ。

歪や周波数特性は 単信号での計測の繰り返しで数値で計測できる。 音の色付け(原音との相違)や音の善し悪しとなるとまた別のこと。 

歪率だけ小さくても 周波数特性だけ良くても 良い音はしないものです。

最近 原点に戻って実験しているのが真空管アンプ。 真空管アンプにも良いところ悪いところは多くある。 特にS/Nに関しては真空管は悪いほうだ。 また クロストークについては信号系のインピーダンスが高いこともあり 左右電源を分けていなかったり 電源インピーダンスが高いと不利です。

現在 設計 製作中のものは 真空管の欠点の部分を少し抑え 現在のアンプの良い部分と 真空管の暖かみのある音を両立させています。 

なぜ 今 真空管なのか? これは 好みの音の問題と 勉強のためでもあります。

電子工学的な話をしますと 高圧 フルスイングの真空管のアンプ これを原点に返ってやってみることで ハイスピード 高スルーレート のデジタル回路や高周波のアナログ回路の勉強になっています。 デジタル回路も1つのゲートを見るとハイゲインでクリップする「アンプ」の1つです(C-MOS ロジックは特に)。 現代はデジタル機器などは 5V系から 3.3V系へと移行し メモリー系のインピーダンスも25Ωくらい。しかし回路はすぐに半導体化されたり 半導体自体が高速化されたり ASICやSMT部品や ゲートアレイで組むこともできるので小型化さえできれば配線長も短くなりインピーダンスマッチングも楽になり高速化も問題ありません。

昔のデジタル機器は ハイインピーダンスで250V程度の電圧を扱いフルスイングさせていた。クロストークも相当なものだったと思われますが デジタルなら しきい値が高いので助かっていた アナログアンプも最近は低インピーダンス大電流 昔は高電圧小電流だった そう考えてゆくと ライン間クロストークは昔のほうが難しく 電流でライン上に電圧が発生し電圧降下が影響することなどでは現在は難しい。 後者も小型化できればラインも短いので問題は無くなる。 すべてにおいて設計、製作は楽になっていると感じます。

作る側は楽ですが 使う側は 軽薄短小のニーズが多いためか 一般のものは安価で オーデイオや計測器なども同様に ハイエンドの機器を好む向きには ニーズが少ないために開発費が回収しきれない高価なものを買うしかなくなってしまったように感じます。

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