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2006年3月26日 (日)

音楽を小さな音でも良い音で鳴らすコツ

オーデイオの楽しみは アパート住まいの方も多く、最近では1戸建てでも近所が近接しているので 隣が離れているとか 遮音しているようなうらやましい方を除けば 近所迷惑を考えると大きな音では鳴らせずせいぜい1W前後の小さな音で聴く機会が多いと思います。

オーデイオもパワーがあって大きいほうが良いと思ってシステムを組んでしまった方は このような音を大きくできない環境ではつまらない音でつらい思いをしていると思います。 ハイパワーアンプに高剛性の高耐入力のスピーカーで 小さな音で聴いていたのではスピーカーの振動板もリニアな領域で効率良く動かず 非リニアな領域で働かせることになります。 このことは リニアな動きをしないときの音ということで アイドリング電流を流さないでアンプを動かしたときの立ち上がりはじめの音にたとえられます。 以下のように考えると 合わないことは(マッチングが悪いことは)いかに損をしているかわかります。 

このような場合 ラウドネス(低音量時の聴感補正)を使わないと耳に聞こえる特性を補正仕切れない場合が多いもの。 (ラウドネスの意味はネット上で調べてみてください)

しかし小さな音のときにはスピーカーごとにリニアリテイが異なるのでアンプメーカーが決めたラウドネス特性ではスピーカーに合わないケースも出てきます。以前は ラウドネスは切ったり 入れたりするスイッチがありましたが最近ではラウドネスがONのままのアンプもあります。 小さなアンプに小さなスピーカーなど小さな音でもちゃんと振動板が動くものの場合大きなスピーカーを鳴らすよりは軽めのラウドネス補正または補正なしでも違和感なく聞こえます。 

ここで少し アンプの話しをします。アイドリング電流とは待機時電流のこと 車で言えばアイドリングのようなもの 車ではすぐに回転数が上がるようにアイドリング(待機時回転数で維持すること)をするわけですが アンプでもプッシュプルなど半波ずつ増幅する場合には使わない半波分は立ち上がりをスムーズにつなげる為にわずかに働かせます。 増幅回路のアイドリング電流の大きさで 動作点が変わるわけでその動作点で呼び方が分けられています。 

アイドリング電流を全く使わないぎりぎりのレベルで増幅するのがB級増幅 わずかにバイアス電流を流すのがAB級増幅 常に上下同じ信号を増幅し続けるのがA級増幅です。歪率(ひずみ率)は B級よりもAB級 AB級よりもA級と 減るのが一般的です。反面出力パワーは デバイスが同じとして B級よりもAB級 AB級よりもA級と 小さくなります。 アイドリング時の消費電流はB級よりもAB級 AB級よりもA級と 増えます。 これらのアンプは待機時電力はあるていど以上必ず生じます。最近増えているD級アンプは アイドリングはB級よりも減らしておきデジタルアンプとして1か0かのピークのみ増幅します。D級アンプは B級 AB級 A級とは基本的な回路が異なります。 D級アンプはPWM変調して働くデジタルアンプのためアイドリング電流が全く無いため、待機時の消費電流がほとんど無く待機時電力が少ないメリットがあり パワーを出したときにその分だけ消費するので 電力効率としては最も効率は良いアンプです。 オーデイオ以外ではC級動作点のアンプも存在します。 回路や動作点などは いろいろな本やサイトで説明されているので教科書通りの説明はこれくらいにします。

アイドリング電流が無いとどうなるのでしょう。 いじわるをしてD級アンプのPWM変調回路とフィルターをはずしてD級アンプに直接オーデイオ信号を入れたらどうでしょう。 小さな音のうちは全く出ないでボリウムを上げてゆくとか大きな音になるとあるレベルから一気にすごく歪んだ音が出ます。これでは実用になりません。 では B級アンプではどうでしょう。 0Vに近い波形の立ち上がりの部分で非線形な部分があり歪みがありますが音にはなります。音は出ますが歪みが多いのです。 そのためわずかにアイドリング電流を流してAB級で使われるアンプがほとんどです。中には可変バイアスや出力デバイスをパラレルにしてそれぞれバイアスを変えるなどのアンプも存在します。

長くなりましたが アンプはAB級などであってもハイパワーアンプに高剛性の高耐入力のスピーカーで 小さな音で聴いていたのではこのB級やC級のアンプに音を入れたようなもので スピーカーが有効に動くようになる音量(電力)までは非常につまらない音だったり 電力と音圧のリニアリテイが悪かったりします。

また アンプには アンプ固有の最適なパワー値(最も効率良く歪みが少なく働く領域)というものがあります。 特性図で見るには 高調波歪率特性のグラフの歪率が最も低くなるパワーの値です。 100W以上ものアンプではかなりパワーを出さないと歪み率が高めだったりします。 小さな音でも良い音で聞くには このポイントが1Wとか2Wのレベルに来るものを選びます。 2W定格のアンプを持ってきても理想的には鳴りません。 理想的には15-30Wのレベルでしょう。 ギターアンプなどの世界では 真空管を十分に働かせている動作点の音を聞きたいがために アンプで一旦50Wくらいに増幅したものを 抵抗の定インピーダンスATTでレベルを下げて音を聞くことすらあります。 一般のオーデイオではこのようなことはしていません。 ケーブルで音が変わるとか 端子で音が変わるというものなど 実際に聞く音量の領域で 差異が出るのかどうか不明なチューニングをしている方は非常に多いものです。ケーブルなども 線間容量が問題になる領域や 配線を5m以上も引くなど 配線の抵抗が問題になる領域では差が出ますが 5m以下であれば 配線などがあるレベル(スペック)以上では一般のケーブルと差は感じられません。特性を計測しても差が出ません。(線材の極端なオーバースペックは 見栄や自己満足の世界でしかなかったりする・・) 

スピーカーの振動板はできるだけリニアな領域で効率良く動かすのがうまい使い方。小さな音で聴くなら コンプライアンス(コーン紙の動きやすさ)が大きなもので 小さな電力でもきちんとコーン紙が動き 自分が聴こうとする音量(音圧)域で電力:コーン紙の動きがリニアなことがベストということになります。 そうすることによって わずか3Wでも充分な楽しみ方ができます。 大きなスピーカーでは3Wでは物足りないとか アンプの歪みは少なくてもスピーカーが非直線部分で鳴っていたのではスピーカーが歪みを作ってしまうことになります。

オーデイオも「適材適所」 が基本です。

*大音量なら 大きなダンピングファクタを持つそれなりのパワーアンプとスピーカーは耐入力を大きく 

*小音量なら わずかなパワーでもあまりダンピングファクタが大きくないアンプと 振動板が軽く動くスピーカーを

と使い分けるべきです。 そのため オーデイオを長年いじってきている方はスピーカーは2種持っている方も多いもの。 今では 時代のニーズか 小さなスピーカーでも楽しめるものが安価で多く出ています 小さい音のときは小さなスピーカーで楽しんだほうがお得です。そのほうが音も活き活きして楽しく聞けますよ。

小さな音で聴くならば 真空管のアンプのほうは余韻もあって良いと感じるのは 主にダンピングファクタが小さいからです。ダンピングファクタとは スピーカーが動いたときそれを制動する力のようなもの。小さな音量で抑えすぎてしまっては余韻が消えてしまいます。大音量の状態ではNFBをかけてサーボをかけたような状態で低インピーダンスで鳴らすとスピーカーをアンプの制御下に置けるのでアンプとしては楽なのですが 小音量をメインで鳴らす場合はそれでは抑え込みすぎて低音があまり出ないつまらない薄っぺらな音になってしまいます。

車で言えば 高速道路などの加速車線などで速く走る(リニアリテイ良く走る)にはパワーバンド内でエンジンを動かしてあげるのが良いのと同じですね。パワーバンドをはずして加速車線で加速すればもたもたしてしまいます。 

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コメント

>オーデイオも「適材適所」 が基本です。
ホントですね。
全てのトータルマッチングと出てくる音の好みが合えば、それは素晴らしい音が聞けるのでしょう。

一時期は、ダンピングファクターの弱い(と思われる)アンプ+軽いダンパーと振動板の1WAYスピーカーの組み合わせで、深夜の音楽に参っていました。正直に言うとこれはスピーカーに特にクセがあり、狭い周波数レンジでマトモに現代の音楽など聴けないものでした。ですが非常に明確にボーカルが聞こえ、それまで気づかなかった細かい音が聞こえました。それは口の動きが予想できるかのようでした。もちろんヘッドホン等で聞けば、手っ取り早くこれらの音も容易に聞き取れたことでしょうが…。
後に現代のミニコンポのアンプ(たぶんパワーアンプIC使用のもでのしょう)に繋ぎ変えてみましたが、これは小音量時に細かい音が潰れて、ただの低高音の乏しい面白くない音が出てきました。分解能が悪いのだろうか、アンプの制動がきいているのだろうか。そんなことを思い音量を上げてみると、今度はスピーカーは振幅が激しくなり、詰まったハナツマミな歪んだ音しか出せませんでした。
オーディオとは入口から出口まで無限の組み合わせがあり、それを聞く人のセンスもあり、その組み合わせの探求には終わりが見えませんね。

私の生活で音楽を楽しむには、アンプはダンピングファクターは弱めのものが合っているようです。「これ!」と思えるアンプに出会えれば…。

投稿: ぼよん | 2006年4月 5日 (水) 01:58

コメントありがとうございます。
>全てのトータルマッチングと出てくる音の好みが合えば
>、それは素晴らしい音が聞けるのでしょう。
すべてのものに言えるのですが 組み合わせのマジックですね。

>クセがあり、狭い周波数レンジでマトモに現代の音楽など
>聴けないものでした。ですが非常に明確にボーカルが聞こ
>え、それまで気づかなかった細かい音が聞こえました。そ
>れは口の動きが予想できるかのようでした。
私が 段ボールスピーカーを作って 小さな音だと良い音がするなあと思ったときに似ています。
中学校の頃でしたが 夜遅くまで穴をあけたりポートを作ってみたり 密閉にしてみたりいろいろ試したものでした。
当時のアンプは 帯域が狭かったのですがボーカル域は 独特の趣がありました。

>もちろんヘッドホン等で聞けば、手っ取り早くこれらの音
>も容易に聞き取れたことでしょうが…。
ヘッドホンはいつも使うものではないです。 反射や吸収や距離がある限り ヘッドホンに勝るスピーカーはありませんしね。。特にバスレフのスピーカーは聴く位置で位相が変化するため位置に注意が必要ですね。

>これは小音量時に細かい音が潰れて、ただの低高音の乏し
>い面白くない音が出てきました。分解能が悪いのだろう
>か、アンプの制動がきいているのだろうか。
ICアンプは 裸特性があまり良くないために NFBが深いので 一度増幅した音で次の音を制御してしまっている割合が大きく「音」には悪い影響を与えますね。

>そんなことを思い音量を上げてみると、今度はスピーカー
>は振幅が激しくなり、詰まったハナツマミな歪んだ音し
>か出せませんでした。
振幅が増えると アンプそのものの制動性が不足するのでパワーの無い(制動の余裕のない)アンプはスピーカーを動かすパワーと制動する制動力のバランスがくずれる場合がありますね。

>オーディオとは入口から出口まで無限の組み合わせが
>あり、それを聞く人のセンスもあり、その組み合わせの探
>求には終わりが見えませんね。
その通りです。 終わりが見えたという方も居ますが さらに先を知れば終わりが無いことに気がつくはずですね。

>私の生活で音楽を楽しむには、アンプはダンピングファ
>クターは弱めのものが合っているようです。「これ!」と
>思えるアンプに出会えれば…。
そうですか。
では 以前お話しましたものの モニターをお願いしますね。 来週くらいには送れると思います。
パワーはかなり少ないですが 是非試してください。
聴いてみた結果をレポートいただければと思います。

投稿: Q | 2006年4月 6日 (木) 20:39

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