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トランスと時間軸

ギターアンプや古いアメリカの音楽はやはり真空管が良いですね。 

トランスの特性を生かしていることと 電流で無理に押さえ込んでもいない(半導体の場合は多くがサーボ的にスピーカーの振動板を抑えてしまう)ことや波形の歪み方があくまでもサイン波を基本としてひずむので聞える音としては理想的なのでしょう。

自然界にある音の波形の多くの基本形はサイン波です。

私などはOTLは様々な回路を実験しましたがトランスを使わない真空管アンプにはあまり魅力を感じません。 

真空管も半導体もなぜトランスレスになったかを考えてみるとわかります。 良い音のするトランスは材料代も巻き方のノウハウもあるためどうしても高価になってしまう。 私なども雑誌の影響でOTL SEPP DCアンプ製作に夢中になった時代もありましたが 今になってですが 材料が貴重な時代 に生まれたOTL回路の背景がわかるような気がしますし スピーカーのドライブは不整合で良いのか? と思ったりもします。トランスの8オーム出力に8オームのトランスを接続する。 これが交流理論とすれば理想。

トランスのネックは 直流バイアスでインダクタンスが下がってしまうことと 低い周波数の伝送特性ですが高価なものはコア材質の最適化や巻き方で充分な伝送特性を持っています。 安価にするため使わないでも良いなら使わないほうが安価で効率よく作れます。 効率や価格を考えるとアウトプットトランスレスですが サイン波(正弦波)の再生全体で考えたときはトランスのほうが特性は良いのではないかと最近特に思います。 何を主 何を 従とするか なのかなと思います。(性能優先かコスト優先か、作り手優先か使い手優先か)

アンプの性能評価で 矩形波の応答をテストしますが これはあくまでも高速応答を見ておくだけのものであって 速くても音が良いとは限りません。 機器個別の基本性能は計測器で計測し判断して調整しますが オーデイオは数値特性だけ良くても聞え方が良いとは限らないので面白い分野です。  

最近 タイムドメインという言葉で製品を売っているメーカーが多いですが 要は時間軸に忠実であるということしょう。従来は波長の関係で高い周波数のスピーカーの装着位置の調整でカバーしてきたものなどの延長上にあると思います。 

古くはサンスイなどのアンプでTIM歪みを重視したことがありましたが まさに 当時から時間軸に対して遅延なく伝送できるのが理想であってオーデイオ機器全体としてはスピーカーから音として出てしまうと音の伝送速度 波長が関係して電気信号の伝送速度 波長とはかけはなれてしまう。。 これは スピーカーから聞く位置が遠ければ遠いほど影響を受けるようになります。 私などは オーデイオ系の開発経験は長いのですが試聴などでは高級な音響性能に特化したヘッドホンを薦めています。タイムドメイン的(時間軸基準)な影響は最小で済みます。

オーデイオ信号もオーデイオシステムに入れば電気信号のうちはほぼ同速度で同位相で増幅されます。 

レコードの振動をカートリッジが拾い電気信号にする部分では楕円針などで忠実にトレースできればほぼ正確な電気信号に置き換わります。

ですが アンプを出てスピーカーに入り 音が出たところからは音の速度です。この差を各周波数帯で計算してみるとわかりますが 記録した状態から 空間や距離が異なれば同一の再生は無理があります。(ヘッドホンの場合は近くはできますが。。) 

オーデイオ全体のシステムとして見た場合の最終判断は耳です。聞くのは音ではなく 音楽が目的なので楽しく良く疲れないで聞える音が理想。 元と同じ音が理想ではありますが位置や空間が異なり音の波長がある限り永遠の課題で終わりはありません。 

耳ではタイムドメイン的な時間軸の変化は判断しやすいので多くの周波数 多くの波形の合成である音楽の場合は耳に勝る測定器は無いのかも知れませんね。(オシロスコープでの計測もFFTなどもその時間軸や周波数軸で人間が都合のよい部分を止めておき見たい部分を見る計測器にすぎないわけです)

オーデイオのシステムは 組み合わせ次第でいろいろな音が出ますが 今あるものを使って良くしてゆく場合 元々あるものがこだわって揃えたものなのか 汎用的なものをまとめて買ったものなのかを判断しないと いつまでも汎用的なものにこだわっていると見失うものもあります。

オーデイオの楽しみ方のコツは 自分が納得ゆく基準機を持つこと 

・良いソースが基本 最近では デジタル放送の音楽ソースを良いD/Aコンバーターでア   ナログ信号化したものがアンプのソースとしてはベストです。安価なCDプレーヤーを新品で買うよりも 当時高級だったCDプレーヤーを中古品で買いメンテナンスをして使うという手は賢い選択です。 コストの制約があるものは結局それなりのため近年の安価なものを購入する場合は 基準機になりえないと思います。 

ここから スタートしてみると そのあとの機器がどうなのか? 良いのか プアなのか? バランス的に間違った選択なのかがわかると思います。 

基本は音響特性に特化したヘッドホンでの試聴でアンプの出力までは決めることをお勧めします。 

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コメント

基準機を探すのも大変ですね・・・。わたしは、オーディオ界の表面をうろちょろしてるだけです・・・。
友人はPS3とノーチラス805とマランツのアンプを組み合わせてましたね。初期のPS3はだいぶ音が良いみたいですが、いろいろ試してみるのも面白そうですよね。

投稿: hirose | 2008年12月 8日 (月) 21時06分

こんにちは
基準機は 継続して雑誌紹介やカタログなどを見ていると判ってきます。 多くは価格が高いですが良いものは重さも重いものが多いはずです。中には 小粒ながら中身が濃いものもあったりします。
  
メーカーはコストダウンはデザインにはコストをかけますが 材料は減らす(小さく 薄くする 無垢ではなくメッキにするなど)またはコストを下げる方向で作る場合が多いものです(量産+使い捨ての機器の場合ですが)
基準といえるような機器は 長く使うことを前提にしっかりとした作りのものが多く見受けられますね。

いろいろ 試してみる いろいろ試聴してみる のは 経験値をあげる意味でも良いですね。
雑誌記載などの評論家の方の耳で判断された音はメーカーのPR寄りのものが多いため 音は自分が疲れない音で長時間楽しめるような音を求めてゆくのがオーデイオや音楽の楽しみでしょうね。

高調波歪率曲線の最も歪みが小さい位置が普段聞く音量ならばベストです。 昔の真空管のギターアンプなどはあえてこの位置を変えるためにATTを入れてでもその領域で鳴らすアンプやアクセサリーも有ります。

現在修理しているジュークボックスも同様でした。
現在は 一般家庭の部屋で鳴らせる音量程度の 1Wで良くなる位置にセレクトして聞いています。 

投稿: Q | 2008年12月 9日 (火) 01時38分

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